Quote 13 Aug 6 notes

ほどなく彼は学校の中庭の壁のある部分を気に入った。そのしみは特別なかたちをしているように感じられた。周囲の子どもたちはキリスト教徒で、彼はそうではなかった。だから彼はその壁のしみを彼の神さまと決めた。

 日本に帰してくださいと、彼は祈ることができなかった。だって彼はある意味でまだ日本にいたからだ。彼はまだ、自分は一度にひとつの場所にしか存在できないという事実を、よく理解していなかった。彼は壁のしみが神さまである彼の世界を、唯一の現実と思えなかった。だから彼は祈った。日本にいる僕が幸せに暮らしていますように。彼は勉強し、三日に一度は吐いて、また勉強した。中庭の壁の神さまは彼の祈りをちゃんと聞き届けた。日本にいる彼は生まれた町の小学校に歩いて通い、思ったことをそのまま伝えることができ、夕刻にはテレビのアニメを見た。両親はいつも日本語を話して、彼を褒めてくれて、おなかの具合が悪いから学校はお休みだねと言った。彼は日本にいる彼の幸福のために大切なものを神さまにお供えした。小さくなった靴下、瓶の王冠、チョコレート・バー、縞模様の小石。

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